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プロスノーボーダー中井孝治氏にインタビュー|これまでの経歴とこれから
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ソルトレイクシティー五輪ハーフパイプ入賞。2003ワールドカップフィスラー大会ハーフパイプ優勝など、輝かしい経歴を持つ中井孝治氏。大会では、高いジャンプとスタイルのあるランで観客を魅了しました。
最近は競技大会の解説を務めることも多いため、解説から彼を知ったという方も多いのではないでしょうか?
中井氏は解説だけでなく、映像作品やプロダクトの製作、レッスンなど、幅広く活動しています。
ビギナーズ編集部では、そんな中井孝治氏のこれまでとこれからについてインタビューを行いました。
中井孝治さんにインタビュー
プロスノーボーダー 中井孝治(1984年3月10日生まれ、北海道出身)
ソルトレイクシティー五輪ハーフパイプ5位。2003ワールドカップフィスラー大会ハーフパイプ優勝。トリノ五輪ハーフパイプ14位。トリノ五輪後は大会から距離を置き、バックカントリーをメインフィールドとした活動をスタートさせる。現在は、自らの経験と技術を生かして写真や映像を残したり、指導やプロダクト開発、テレビ・新聞での解説を通じて、スノーボードの魅力を伝える活動を行っている。
1.スノーボードを始めるまで
ご出身はどちらですか?
北海道の倶知安町で生まれて、小学校2年生からは札幌で育ちました。
倶知安町は、ニセコスキー場が近いんですね
そうです。ニセコスキー場があるのも倶知安町です。
子ども時代は、どういったお子さんだったんですか?
そうですね、まぁ雪国なので、雪が降ったらみんなでスキーしたりとか。
倶知安町に住んでいた時は、もうほんとに田舎だったので、家の裏の川で遊んだりして過ごしていました。あと山にもスキーで行ってました。
小学校2年生のときに札幌に引っ越してから、仲良くなった友だちの影響でスノーボードを11歳から始めたんですけど。
スキーは、スノーボードを始める前からやってらしたんですね。
はい、倶知安町っていう場所に住んでいたので、校内スキー大会があったりして、スキーは割とみんな、本格的にやっている子が多かったです。
周りもそういった方が多かったんですね
そうですね、サッカー少年団的なノリでみんなとりあえずスキーチームに入っていました。あとクロスカントリースキーも学校の授業でありました。
2.スノーボードに出会う
11歳でスノーボードを始められたきっかけはどういったものだったんですか?
その時に仲の良かった友だちのお父さんがスノーボードのインストラクターをやっていました。友達は僕が始める前から何回かスノーボードをやっていて、その友達が「一緒に行こうよ」と誘ってくれて、始めたという感じですね。
そこからもうスノーボードにハマっていったんですか?
はい、すぐにハマって、「うまくなりたい」「プロになりたい」と思うようになりました。そこからずーっとハマっています。
スノーボードがオリンピック種目になったばかりだったんですね。
そうですね、長野オリンピックの前の年くらいに始めたと思います。スノーボードがオリンピック競技になったというのは始めた時には知っていて、実際にやったら面白くて、「なんかよくわからないですけどプロになりたい」と思うようになって。
すぐに大会とかも出るようになった感じですね。
始めてすぐにプロになりたいと思われたんですね。そのときは周りにプロのスノーボーダーは多かったんですか?
いや、まだスノーボードのプロ制度ができ始めたくらいの時期だったと思うんですけど。
周りに自分より上手な人ももちろんたくさんいたんですけど、なんかこれだったら上手くなれそうだなって思ったのかもしれないですね。
スノーボードがすごく面白いと思ったのが1番大きかったと思います。
その時は、スキー場に行った時に、スノーボーダーってどれくらいいたんですか?
そうですね、新しいものって感じで、最初のブームが来ていたのでやっている人は割といたんですけど、全く知らなくて「なんだあれ?」みたいな感じで見てる人もいました。当時若かった今の僕らよりもう一つ上の世代の人たちが二十歳くらいの時にやっているようなイメージです。
20年くらい前に二十歳前後だった人とかもうちょっと上の年代の人がやっている人では多かったのかなと思います。
初めてハーフパイプに入ったのはいつ頃ですか?
初めてパイプを体感したのは、2回目に行ったスキー場です。
それは先ほど友だちと一緒に試しに入ってみたみたいな感じですかね?
そうですね、ハーフパイプがあるスキー場に友だちと一緒に、友達のお父さんに連れて行ってもらって、ハーフパイプというものを始めて知りました。
それで入ってみたら、まぁ難しくて。
親にやらされる感じで始めたスキーと全く違うじゃないですか。
ハーフパイプという半円の構造物に衝撃を受けて、ハマって。スノーボード=ハーフパイプと感じるくらいハーフパイプに夢中になりましたね笑。
始めて1~2回の頃は普通のゲレンデでスラスラと滑れるような形にはなっていたのですか?
いやー、1回目に行ってちょっと滑れるようになって、その続きで2回目行ったら全然できなくなっていました。
ちょっと上手になったら、また前のレベルに戻ってっていう繰り返しでした。
なかなか思い通りに行かないけど、意外とイケてるのかなと自分で思いながらやってました笑
最初入る時は怖くはなかったですか?
怖いより楽しいっていう気持ちの方が強かったので、あまり恐怖心はなかったと思います。
ターンやジャンプをできるようになったのはいつ頃ですか?
一回転を360(サブロク)って言うんですけれど、「5回目で初めて360回れた」とかって言ってた記憶がなんとなく今でも残っています。
5回目で360をできた時の嬉しさはすごそうですね。
自分たちで作ったような小さなジャンプ台でしたけれど、その時のことは今でも覚えているくらい嬉しかったです。
その頃が小学6年生だったんですか?
そうですね、6年生ですね。
周りにも結構360を回れる方っていらっしゃったんですか?
一般の方たちからすると360回ったらイエーイって周りが盛り上がるくらいなるぐらいで笑
それくらいの大技でした、
大人でもなかなか、ちゃんと練習しても回れる人が少ないような。
そうですね、当時で、一般レベルの方が出場する大会だったら、360できたら優勝できるくらいのトリックだったと思います。
その頃から大会は出ていらっしゃんですか?
はい、始めた年から大会には、出ていました。
それはどういった大会だったんですか?
スキー場にポスターが貼ってあって、それを見て大会があることを知って申し込みました。ジャンプの大会だと思ったらボーダークロスというスノーボードクロスの前身の競技だったのを、申し込んで大会に行ってから知りました笑
全然違ったんですね笑
はい笑。
でもまぁとりあえず出てみようと思って。ただ、次の日にジャンプ競技があったので、結果的には両方に出ました笑。
ジャンプだと思っていたら、違う種目でした笑。
その大会だと、出てる方ってどういった方が多いんですか?年齢層的には大人が多いんでしょうか?
そうですね、僕がその時はおそらく最年少だったと思うんですけど。
20代前半~後半とか、ブームに乗って二十歳くらいで始めたような人がほとんどでしたね。
その後も、ポスターを見つけては大会に出てといった形で取り組んでいかれるんでしょうか?
最初にポスターを見てみて出た大会は草大会だったのですが、スノーボードショップに登録すると、スノーボード協会認定の大会に出られると聞いて、お店に選手登録をし、その時はC級だったのですが、C級のスノーボード協会公認大会に、スノーボードを始めた年の後半の頃から出るようになりました。
大会に出た時って、最初はジャンプの大会が多かったんですか?それともハーフパイプの大会も?
ハーフパイプの大会に出ていました。
1年目ではどういったトリックをしながら滑っていたのですか?
当時のパイプのクオリティも今とは違うので、3~4発くらいしか飛べないんですよ、今の半分くらいな感じで。
だから、ストレートエアを普通に3発くらい飛んで、最後に360を入れられるかどうかみたいなレベルでした。
その大会で優勝される方だと、例えば20代でどのようなトリックをされる方が優勝されていたのですか?
優勝でも、540.720くらいまでですかね、一番レベルが高かったトリックで、360を2回やって優勝する人がたまにいたりくらいです。
そのときは一緒に滑る仲間と一緒に大会に出ていたのですか?
そうですね、いつも一緒に練習したり、大会に一緒に行くような、同じ歳くらいの友だちが5~6人いました。
その方が、言わば仲間と言いますかライバルなんですかね?
はい、そうですね。
そのときは中井さんが一番上手かったんですか?
いや、そんなことはなくて、、、。
友達の影響で、一緒にスノーボードをやっていたんですけど、その後知り合った友だちは僕より1年くらい早くやっていたりしたので、最初の1年目はみんな僕より上手でしたね。
3.競技生活について
中井さんの大会初優勝っていつ頃なんですか?
初優勝は中学校2年生のときで全日本ジュニア選手権です。
北海道選手権で優勝して、全日本に進み、全日本でも優勝することができました。
その時の生活や練習内容はどのようなものだったのですか?
まず学校が終わったら、家から地下鉄とバスに乗ってスキー場でナイター練習をしていました。学校がない休みの日は常に滑りに行ってましたね。
やはり、冬はほとんどの時間を滑っているような生活だったのですか?
そうですね、学校に行かなくていい日はずっとスノーボードをしていました。スノーボードを始めて2~3年目くらいに親にお願いして、海外のサマーキャンプに参加したり夏でもスノーボードが滑れるところに行き、練習していました。
あとは、山梨に室内のハーフパイプ施設があるので、中学校2年生の時から年に1~2回は足を運ぶようにしていました、夏は海外か山梨で練習して、冬は出られる大会に全部出るっていう感じです。
スノーボードでプロになる方は、ほとんどの時間をスノーボードに使う方が多いんですかね。
そうだと思います。スノーボードに限らずだとは思うんですけど、ずっとそのスポーツが好きでその競技について考えている人がプロになるのかなとは思います。
中学の時に全日本で優勝されて、その後はどういった流れになるのですか?
中学3年生の時に、SAJというスキー連盟があるんですけど、その全日本選手権で中学校3年生の時に優勝して、ナショナルチームに高校1年生のシーズンから入りました。その年にプロ資格も同時に取得しています。
ちなみに、そのプロ資格を取るために試験などってあるのですか?
当時はプロが出るプロ戦で表彰台に立つか、15位以内に2回入ることが条件でありました。
アマチュアがプロ戦に出られるチャンスは、全日本選手権で優勝すると一年回れるようになります。僕は前の年に優勝していたから一年間プロ戦に回れて、2戦目くらいで表彰台に立ち、プロになることができました。
大会では基本ハーフパイプがメインで、他の競技はほとんどやられていなかった形ですか?
当時はハーフパイプかアルペンっていう2種目しかありませんでした。その後ボーダークロスができて、ジャンプができて、スロープスタイルができたんですけど、僕がはじめてから間もない時は、ジャンプができ始めたくらいの時期でした。全部出てたんですけど、10回大会があったら9回ハーフパイプみたいな、そんな感じでした。
まだ他の種目はでき始めっていうタイミングだったんですよね。だから、フリースタイル競技は全部やりたかったんですけど、ハーフパイプがほとんどの時代でした。
スロープスタイルとかそういったところは、割と最近の競技になるんですね、
そうですね、僕が出たソルトレイク五輪とトリノ五輪の時は、ハーフパイプ・アルペン・ボーダークロスしかなかったですね。
ちなみにご自身で印象に残っているランはどれになりますか?
そうですね、ソルトレイク五輪の決勝のランは、すごく印象に残っています。
かなり大きい舞台の決勝なのでかなり特別感があると思うんですけど、そのときに緊張はされていましたか?
前の日は、それなりに緊張して、寝れないなぁってことはありましたけど、大会始まって会場に行って滑る前はそんなに緊張しませんでした。
いつもどおりの感覚で滑られていた感じでしょうか?
今日はなんか上手く滑れそうだなっていう感じで、滑っていたような気がします。
決勝の舞台ではどういった感情だったのですか?
あとは、かなり大きい大会なんだよなぁみたいには思っていたんですけど、あんまり実感がわかないというか、いつも出る大会の1つくらいな感じでした。でもやっぱり大きい大会だよなぁと思ったり。そんなに緊張しなかったからそんなことを考えていたりしました。
かなり観衆の方が多い印象だったんですけど、いつもあのくらいの観衆の方はいらっしゃるのですか?
かなり多かったと思います。やっぱり、アメリカがスノーボードの本場なので、観客も何万人いたのかなってくらい…。
そんなにいらっしゃったんですか!
アメリカの選手が出てきたら歓声が地響きみたいに聞こえるくらい沢山の人がいました。
今まで出た大会の中でもかなり多かった方だと思います。
ちなみに、大会でランをされるときはどんなことを考えながら滑るのですか?
キマッたら次これ、次これっていうのを考えながらテイクオフする瞬間までに、踏み切る場所を見てたりします。結構冷静ですね。
観客の声も耳に入ってくるので、自分が飛んだ場所の近くで声を出している人がいたら、そっちの方に目が行くこともありますね。
中井さんはかなり高さやスタイルが魅力の選手かと思うのですが、そういった点は意識されていたのですか?
そうですね、かなり意識はしていたと思います。
あんまり飛ばずに難しい技をクルクルするよりは、ちゃんと高さを出して、完成度を上げた上で難易度が高いものをやっていきたいなと思っていました。高さはやっぱり優先順位としては上でしたね。
他に出ていた大会で、大きな大会にはW杯などになるのですか?
ワールドカップも大きいですが、XGAMEとか、USオープンなど、アメリカでやっている大会は結構大きいですね。
東京ドームで開催された大会の中の回転を競うイベントで、高さのある180(ワンエイティ)を飛ばれたというのを聞いたことがあるのですが、それは本当ですか?
本当です。
それはどう考えて飛ばれたんですか?
あれは、ショー的なので、もともとなかったのが追加されてやるってことになったんですよ。普通にジャンプとクォーターの大会だったんですけど、東京ドームでやるイベントだったから観客が多くて、誰が一番飛べるかやってみようっていう感じで。
賞金がかかってるからいっぱい回すというのはなんか嫌だなと思っていました。本戦が後であるから、そっちで真剣に滑ればいいので、このイベントではスタイルを見せられたらいいなと思って、その時は180にしたんだと思います。
回した数であったり、技の難易度というよりは、技の完成度などを意識されてる感じですかね。
そうですね、ダサくてもいっぱい回せば良いというのは、嫌だな、見せたくないなと思って。
そういうところをに大切に自分はやってます。
4.現在の活動について
ではこれから、現在の活動についてお伺いさせていただければと思うのですが、現在はどういった活動をしていらっしゃるのでしょうか?
現在は、サポートしてもらっているブランドのPVだったり、自分のプロモーションになるような動画と写真を撮影して専門誌や専門DVDに出たり、大会の解説やレッスン、プロダクトの開発とかをしています。
中井さんが製作された『PURE JAM』についておうかがいしたのですが、どのような点にこだわって制作されたのですか?
そうですね、PURE JAMはやっぱり、楽しさを一番に重視してやってます。
普通DVDって限界とか極限の滑りだったり、かっこいいというのが一番重視されていることが多いと思うんですけど、かっこいい方がもちろんいいとは思うんですけど、あんまり限界に挑戦すると、一般の人にイメージしづらいスノーボードになってしまいます。
それよりは、バックカントリーとかスキー場じゃないところに行って、見ている人がここ滑りたいなと思うような気持ちよさが伝わるような映像が撮れたらいいなと意識してやっています。
『PURE JAM』を作ろうと思ったきっかけはどういったところだったんですか?
大人の人にレッスンだったりイベントで接したり、子どもにも教えたりする機会はあったんですけど、大人の人にもっと楽しんでもらえたらスノーボード業界がもっと良くなるなと感じたのがきっかけです。
それで大人の人が自分で滑れるような、それこそゲレンデでの映像みたいなものも入っていたのですか?
ムービーを見てくれているファンの人とかは、「ゲレンデの映像が一番すごく良かった」と言ってくれたりしたので、やっぱりイメージしやすい方が、見ていて感じやすいのかなと思いました。山とかにも行ったりするんですが、誰もやったことのないトリプルコークをやるよりは、頂上から下まで気持ちよく滑るっていうのを撮りたいって感じですかね笑
解説についてお伺いしたいのですが、大会の解説をする中でこだわっていることはありますか?
解説は、ちゃんと技を正確に伝えるというのと、選手がどういう滑りをしているのかというのを細かく伝えられればと思ってやっています。また、あんまり個人的に感じたことは言わないようにしています。スタイルに関してなどは。
ちなみに今後も様々な大会でご解説されるかとは思うのですが、観戦するときには、どんなところに注目すればよいでしょうか?
そうですね、ハーフパイプでいえば、高さもそうなんですけど、技の難しさだけでなくて、飛んでるエアの数が人によって1発少なかったり多かったりというのもあると思います。
例えば、同じ決められたコースで、エアの回数が多い人と少ない人がいたら、多い人のほうが高さは低くなっちゃうけれど、それで4発の人と5発の人が同じ高さだったら、5発の人が上手なんだなということがわかってくると、納得する部分も出てきて、見ていて面白くなると思うので。
あとは、グラブ。グラブが長ければ長い程難しいので、「この人いっぱい回ってるけど、グラブ短かったな」とか「あの人グラブ長くしてたから、同じ技だけどこの人の方が点数出てるんだなぁ」とか気にしてみたら、面白さが変わるかもしれないので、そこも着目すると良いかもしれないです。
次にレッスンについておうかがいしたいのですが、今はどういったレッスンをされていらっしゃるんですか?
夏は人工ブラシ、エアマットの施設が全国にあるんですけど、札幌にもあって、そこでジャンプの練習をしたり、人工ブラシの上でターンなどの練習をしています。冬は普通のレッスンの他にバックカントリーにガイドの人を呼んで一緒に行くツアーだったり、レッスン色というよりはセッション?イベント色のある企画をしています。
来られる方は、中級者の方や上級者の方が多いんですか?
中級者の方や上級者の方も来てくれますし、初心者の方もいて、レベルは様々です。
中井さんがレッスンをする中で、どのようなことを伝えていらっしゃるのですか?
そうですね、初心者・初級者の方には、まずセッティングを見せてもらって、やりやすい状態でできるように環境を整えるのと、”怪我しないで楽しく”っていうのを意識しながらやっています。
中級者の人とか上級者の人には「こうした方がもっとこうなりますよ」といった滑りの具体的なことを伝えています。
上級者の人はうまいので、「もっとこうやってやったら遊び方が広がりますよ」っていう、遊びの引き出しっていうんですかね、なんかそういうのを伝えられるようにしています。やっぱり上級者の人は、レッスンレッスンというよりは、一緒に滑るセッションみたいなので、後ろからついてきてもらって、見て感じてもらう工夫をしていますね。
教えることとか伝えることは、そのレベルによって伝えることが異なります。
最後にプロダクト製作についてお伺いしたいのですが、製作をする中でこだわっていることはありますか?
こだわりはそうですね、自分に合わせたものじゃなくて、環境だったり滑る場所に合わせたプロダクトにしています。今は、北海道で使いやすい道具というのをイメージして作っています。
北海道の雪質であったり、環境に合わせたものを?
そうですね。北海道って結構雪が良くて、パウダーが多くて、でも大きい山ってなると少なくて、緩斜面が多いんですよね。
だから長野や群馬だと、結構スティープ(Steep)な急斜面が多い山が多いと思うんですけど。良い雪でさらさらの深いパウダーでも浮くような板で、緩斜面が多いので低速とか、中速域で扱いやすいギアを作ろうと思っています。スピードが出たところでも、安定するような固い板の逆っていうんですか。緩斜面用のパウダーをイメージして作っています。
製作はどのくらいの期間かかるものなんですか?
数ヶ月でできるものありますが、僕は1年くらいかけて作っています。そこからマイナーチェンジというかちょっとずつ改良して、今4年目くらい、板は4モデルくらい出して、バインディングっていう金具は3モデルくらい販売しています。また、製作に2年以上かけている進行中の板もあります。
発売日とかは決まっていないんですけど、2年前から作っている板があり、今日もテストをしていました。
開発して滑りながら微調整を繰り返してみたいな形ですすめているんですね。また、発売されてからも、毎年マイナーチェンジがされていくんですね。
そうですね。絶対変えなきゃいけないっていう感じではないんですけど、その時の自分のコンディションとか雪のコンディションによって、欲しい物もちょっとずつ変わってきたりとか、こういう方がいいのかなと思うので、微調整を繰り返しています。
あと、お仕事につながらない部分についてもおうかがいしたいのですが、仕事以外で趣味として滑ることもあるんですか?
はい、趣味でも雪があれば滑ります。仕事がない時は趣味としてスノーボードを楽しんでいます。
そのときはどういったところを滑っているのですか?
そうですね、バックカントリーをメインで滑っています。
今現在、スノーボードで一番楽しい瞬間ってどういったところになりますか?
うーん、毎日楽しいです、滑ってたら笑。年々どんどん楽しめるようになってきています。
初心者の方がスノーボードを始めるときにより楽しめるようなコツなどはありますか?
初心者の方が楽しむためには、まずタイミング。
一番最初にチャレンジする日がいつでもいいってわけではないと思うんですね、例えば雨が降った次の日にすごく寒くなっていたら雪面はガリガリじゃないですか。転んだら痛いし、エッジも入らない。
そういう時よりはやっぱり良い雪が降っているときか、まぁちょっと濡れやすいですけど春の柔らかくなった雪の時とかの方が、転んでも楽しくいられると思います。やっぱり柔らかい良い雪で暖かい時に行くっていうのが重要かなと思います。
あとは、同じレベルぐらいの友達と一緒に行くと、わからないことを聞き合いながら盛り上がるし良いと思います。
5.今後の展望
それでは中井さんの今後の展望はありますか?
ライダーとしてずっと長く滑れるだけ、体が動くまで滑り続けていきたいなと思います。また、プロダクトも、自分だけじゃなくて、みんなに乗りやすいって思ってもらえるようなプロダクトを作たらいいなと思っています。
6.スノーボーダーの皆さんに伝えたいこと
最後にスノーボードを始めてみたい方にひとことお願いします。
スノーボードは、ジャンプとかスロープスタイル、ハーフパイプなどのフリースタイル系のイメージをする人も多いと思うんですけど、ジャンプしなくてもターンするだけですごく気持ちのいいものです。若い人だけのスポーツじゃないので、幅広い世代の人に楽しんでもらいたいです。ぜひ皆さんやってみてください!楽しいです。
まとめ
今回は、中井孝治氏にこれまでの経歴と今後の展望についてインタビューを行いました。
解説だけにとどまらず、映像制作やプロダクト開発、スノーボードレッスンなど、幅広く活動されている中井氏のこれからに注目してみてはいかがでしょうか?
ビギナーズ編集部 /
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