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ジャズとはどんな音楽か?歴史・特徴・代表曲をあげながら解説
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「ジャズ」と言う言葉を聞いたことがある人も多いですよね。実際にジャズのライブハウスも数多くあり、喫茶店やレストランでおしゃれなジャズを流しています。
このようなところで、ジャズは結構身近な存在となっていると言えるでしょう。でも、ジャズってどんな音楽なのか説明できる人は少ないのが現状です。
今回は「ジャズとはどんな音楽か」について、その特徴や歴史などから紐解いて解説しましょう!
目次
ジャズとは
まずは「ジャズ」とはどんな音楽を指すのか、について解説します。ジャズと聞くと、多くの人が想像するのは譜面を見ずにスラスラ吹いている姿かもしれません。
ジャズとは、この「即興演奏(アドリブ)」が大きな特徴。即興演奏とは、楽譜に書かれた音にこだわらず、その場でメロディーを作りながら演奏することです。
この即興演奏と、黒人音楽のリズムと白人音楽のハーモニーを受け継いだ音楽がジャズです。演奏形態も、最小だと2人のデュオから4〜5人のコンボと呼ばれる編成、20人前後で演奏するビッグバンドなど様々な形があります。
ジャズの分野で有名なミュージシャンは、以下のような方がいます。
【海外】
- マイルス・デイヴィス(トランペット)
- ビル・エヴァンス(ピアノ)
- ジョン・コルトレーン(テナーサックス)
【日本】
- 上原ひろみ(ピアノ)
- 片岡雄三(トロンボーン)
- 矢野沙織(アルトサックス)
もしかしたら、「この人の名前を聞いたことがある!」という方もいるかもしれません。
ジャズ音楽の種類
とは言っても、ジャズとはどんな音楽のことを指すのかいまひとつピンと来ないですよね。それは、ジャズと一言で言ってもかなり多様な音楽があるからではないでしょうか。
では、そんなジャズの種類について紹介しましょう。
ディキシーランドジャズ
ジャズが誕生した初期に誕生したのが、ディキシーランドジャズです。ディキシーランドジャズとは、トランペット・トロンボーン・クラリネットの3管を中心とした編成で演奏するジャズのこと。
ジャズと聞くと哀愁漂う曲が多いイメージですが、ディキシーランドジャズは全体的に明るい雰囲気の曲が多いことも特徴です。
スウィングジャズ
1930~40年代に盛んになったのは、スウィング・ジャズという華やかな音と跳ねるようなビートが特徴的なジャズでした。スウィング・ジャズは主にダンスパーティーで演奏され、主にビッグバンドで演奏されることが多いです。
ビバップジャズ
スウィング・ジャズに慣れると、だんだん新しい音楽をやりたい・・・という人が出てきます。こうして生まれたのが、ビバップジャズです。
ビバップジャズでは決まったテーマを皆で演奏し、その後にそれぞれのプレイヤーが即興演奏をする、時に楽器同士で掛け合いなども行う・・・と言った特徴があります。
みなさんが聞いたことがある「ジャズ」は、このビバップ・ジャズが多いでしょう。また、この流れを組みつつより聴きやすいメロディーを特徴としたのが、ハード・バップ・ジャズです。
ラテンジャズ
ラテンジャズは、中南米で発達していたラテン音楽を取り入れたジャズのこと。スウィング・ジャズが楽譜でいう3連符に合わせたリズムなのに対して、ラテンジャズでは8分音符や16分音符のビートに乗せています。
ラテンジャズの特徴は、編成にティンバレスやボンゴ、コンガなどのパーカッションがいることです。
フリージャズ
ジャズ特有のコード進行にしばられず、自由に演奏するのがフリージャズの特徴です。ビバップジャズが飽きられてきた頃に、コードや和音などの制約から自由になる、という意味で生まれました。
時には楽器を演奏するだけでなく、叩いたり引っ掻いたりする音で演奏することも。とても自由でカオスな印象を抱く人もいるかもしれませんが、その自由さが気に入ることもあるでしょう。
モードジャズ
フリージャズと同じ時代に生まれたのが、モードジャズ。こちらはビバップジャズのルールを守りつつ、よりモード(施音)に重点をおいたのがモードジャズです。
モードジャズが誕生することで、アドリブでのメロディを作る選択肢がさらに広がりました。先ほど代表的なミュージシャンにあげた、マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスはこのモードジャズに当てはまります。
ジャズ・ファンク
ジャズにロックやR&Bなどの要素を入れたのが、ジャズファンクです。ジャズファンクは今までの楽器だけでなく、シンセサイザーやエレキギターなど、電子楽器をふんだんに取り入れて演奏します。1970年代に誕生した新しい分野で、ジャズファンクが発展した形が「フュージョン」です。
ジャズ誕生の歴史
では、ジャズの歴史について振り返りましょう。
ジャズの発祥はニューオーリンズ
ジャズは1920年頃のアメリカ・ニューオーリンズで誕生しました。当時はアメリカの南部都市に黒人と白人だけでなく様々な人種がいたので、言語ではなく「音楽」でコミュニケーションをとるようになります。
ちなみに、ジャズと聞くとジャズバーなど、お酒がからむイメージが多いですよね。ジャズが誕生した当初から、酒場やダンスホールで演奏しているのでこのイメージがついたといえるでしょう。
そうして、最初に誕生したのが「ディキシーランドジャズ」です。この時代に誕生したアーティストとして、トランペット奏者でありボーカルでもあったルイ・アームストロングがいます。
スウィングジャズ全盛の時代
1930年ごろになると、明るくダンスができそうなスウィングジャズが人気を集めました。この頃にはビッグバンドなど、大編成で演奏するようになりました。
代表的な作曲家としては、「茶色の小瓶」「イン・ザ・ムード」が有名なグレン・ミラー、「キャラバン」「A列車で行こう」などが有名なデューク・エリントン、「シング・シング・シング」が有名なベニー・グッドマンがいます。
これらの曲は吹奏楽向けにアレンジされている曲なので、もしかしたら聴いたことや演奏したことがある人もいるかもしれません。
ジャズの全盛期
やがてスウィングジャズが衰えはじめ、編成も小規模のものが好まれるようになると、即興演奏をメインとしたビバップジャズが流行するようになります。
当時はライブハウスやバーを閉店した時に、「セッション」で皆でテーマを演奏した後即興演奏をしていました。
それがだんだんお店が開いている時にセッションを行って、様々なプレイヤーが参加するようになり、新しい「ビ・バップ」の形ができたと言われています。
また、同じ頃に「LPレコード」が登場したことで、ジャズは「踊る」音楽から「聴く」音楽に変わりました。そのレコードに触れたファンが、やがてライブハウスやジャズバーで聴くようになります。そうしてジャズの人気が高まりました。
この頃にマイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンなどの代表的なジャズミュージシャンが次々に登場します。
ジャズの種類の多様化
1960年代からはさらにジャズの演奏スタイルが幅広くなります。具体的には、コード進行などジャズの理論から自由になった「フリージャズ」、「モードジャズ」が登場しました。
今までのテーマからの即興演奏、という流れも打ち破り完全な即興であるフリージャズは、登場した当初とても衝撃を与えたでしょう。
さらに、ジャズにロック、ファンク、R&Bなどを取り入れた「フュージョン」もできました。その一方で、今までのビバップジャズに関してもウィントン・マルサリスやアート・ブレイキーなどの影響により盛んになっています。
こうして、今までの流れと新しい流れが両立した状態で現在に至っています。
ジャズの代表曲
それでは、ジャズの代表的な曲について紹介しましょう。
ルイ・アームストロング「この素晴らしい世界(What A Wonderful World)」
初期のジャズを代表するルイ・アームストロング。「サッチモ」という愛称で親しまれた彼は、明るい歌声とスキャットという手法をいつかって一気に有名になりました。
この曲は現在でも日本のCMに起用され、多くの歌手がカバーしています。一度聞いたら、こぶしの効いた歌い方、世界平和を願った歌詞などが耳に残るに違いありません。
グレン・ミラー「真珠の首飾り」
スウィングジャズの代表的なアレンジャーであるグレン・ミラーの代表曲です。グレン・ミラーの人生は「グレン・ミラー物語」で映画化されています。
この曲は当時お金がないグレン・ミラーが作り物の真珠の首飾りをプレゼントしてプロポーズするのですが、音楽で成功したグレン・ミラーが本物の真珠の首飾りをプレゼントする、という展開になっています。
なんだか、ロマンチックに感じるかもしれませんよね。また、グレン・ミラー・オーケストラ特有のサックスのビブラートにも着目しながら聴くことをおすすめします。
チャーリー・パーカー「Confirmation」
「バード」という愛称で親しまれたアルトサックス奏者・チャーリー・パーカー。ビバップジャズを代表し、今ではジャズ・スタンダードの1曲として有名になりました。
テーマを少し聴くだけでも、「なんだか難しそう」と感じるかもしれません。でも、チャーリー・パーカーの演奏技術の高さやテーマの裏で聞こえる周りのハーモニーなど、細かいところへのこだわりがあります。
まとめ
さて、「ジャズとはどんな音楽か」について解説しました。ジャズとはあまりに幅広いために、定義するのが難しいです。しかし、ジャズを理解するにはまずは聴くことが大切です。ぜひ、ジャズが生まれた背景を知りながら曲を聴いてみましょう。
ジャズで使われる楽器についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ確認してみてくださいね。
medmed /
ビギナーズ編集部 ライター
平日はWebライター、休日はトロンボーン吹き(演奏歴18年)をやっています。 音楽と映画、本、旅行、料理、インターネットなど多趣味な日々を楽しみながら過ごしています。