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アコースティックベースとは? 種類や特徴について解説

エレキベースはソリッドのタイプがポピュラーですが、アコースティックベースと呼ばれるボディが空洞なタイプも人気があります。本記事ではアコースティックベースとはどういったものを呼ぶのか、その概要や種類について解説します。
アコースティックベースとは? 種類や特徴について解説

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エレキベースといえば、フェンダーのプレシジョンベースやジャズベースに代表されるようにソリッドタイプのボディを使用したモデルが一般的です。しかし、その原点であるコントラバスは空洞のボディを持ちます。

アコースティックベースはコントラバスと同様に空洞のボディをもち、その響きはソリッドとはまた別の良さがあり、多くのミュージシャンに愛されています。

本記事ではアコースティックベースの概要や種類について解説いたします。

アコースティックベースの概要

アコースティックベースとは一般的に「空洞のボディを持つこと」「セットネックで構造を採っていること」「ブロンズ弦を使用していること」といった特徴を持ちます。(種類によってはいずれかの特徴に違いがありますが、大凡は同様です)

そのサウンドは豊富なプレゼンス成分が特徴的で、そこにはアコースティックらしいきらびやかさが含まれています。だからと言って低音が不足することはありません。

また、ルックスが一般的なエレキベースとは全く異なるため、アコースティックな編成でのライブを行う場合にはステージのルックス上の理由でアコースティックベースを選ぶこともあると思います。

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アコースティックベースの種類

アコースティックベースは一般的なエレキベースと比べて大きくポピュラーな訳ではありませんが、その分微細な違いによって細かく種類が別れており、どれもがベーシスト心をくすぐるものです。

細かな違いから、それらの種類の違いについて解説します。

フルアコースティックベース

フルアコースティックベースとは、ボディが完全に空洞なものを指します。種類によってはボディのセンター部分はソリッドになっているものもありますが、フルアコースティックベースは文字通り、全てが空洞です。

単にアコースティックベースと言った場合とフルアコースティックベースと言った場合ではその解釈は一般的に異なります。前者はアコースティックギターのベース版、後者はギブソン ES-175のようなアンプをしようすることを前提としたスタイルのベース版のようなものだと理解していただければと思います。

とはいえ、現代ではアンプを使わずに演奏するシーンは非常に限定的なので(特にベースは)どのようなスタイルであってもほとんど全てのアコースティックベースはピックアップを備え、アンプからの出力に対応するといえます。

また、前者はブロンズ弦を使用するのが一般的ですが後者は一般的なエレキベースの弦(ニッケル弦など)を使用するのが一般的です。

セミアコースティックベース

ボディの全てが空洞になっているフルアコースティックベースに対して、セミアコースティックベースは、ピックアップ、ブリッジなどがかぶるボディのセンター部分がソリッドになっているタイプを指します。

このタイプはボディトップ板の振動が少なく、その分生音は比較的抑えられます。しかし、ハウリングが起こりづらく大音量で音がなる環境に対して強いといえます。

また、セミアコースティックベースは物理的な強度が強く、そうした意味でフルアコースティックベースよりも丈夫なスタイルだといえます。

セミソリッドベース

セミソリッドベースはどちらかというと文字通りソリッドベース寄りですが、アコースティックベースを検討しているのなら選択肢に入れても悪くはないと思います。

アコースティックベースはボディトップ、ボディサイド、ボディバックに別々の木材を用いて箱のようなボディを作りますが、セミソリッドベースは一枚の板を大きく削り込み、トップに蓋をするように別の木材を貼り付けます。ギターでいうとシンラインのようなものですね。

近年のギブソンのレギュラーラインのレスポールや、サドウスキーのエレキベースのような軽量化を目指したチェンバードボディとは少々意味合いが異なります。しかし、出力されるサウンドとしては近しい部分もあるので線引きは難しいところです。

ウクレレベース

ウクレレベースはKALAなどのメーカーが精力的に製造するもので、ウクレレのような小さなボディ、短いスケール、そしてゴムのような特殊な弦を使用するのが特徴です。

サウンドはまるでコントラバスのよう。スケールが短いと低音が出ないと言われることがありますが、もちろんそんなことはありません。

ウクレレベースのボディはアコースティックベースと同様にボディトップ、ボディサイド、ボディバックを別々の木材で作ります。絶対的な小ささもウクレレベースの大きな魅力の1つだといえますね。

コントラバス

コントラバスは別名ウッドベースとも呼ばれる、エレキベースが誕生する以前から存在するベースです。圧倒的に大きなボディと長いスケールをもち、ベース自体を床に立てて縦に構える演奏方法が特徴的です。

特にジャズやオーケストラではエレキベースと同等かそれ以上に使用頻度が高く、そのサウンドはここまでに紹介したどのベースとも大きく異なります。デザインが根本的に大きく異なるのが要因です。

コントラバスのようなサウンドを目指して作られたEUB(エレクトリックアップライトベース)と呼ばれるものも一般的です。ここまでに紹介したアコースティックベースはエレキベースからの持ち替えが容易ですが、コントラバスやEUBはそうとはいきません。

最近ではエレキベースもコントラバスも、両方を演奏できるベーシストが少なくなく音楽制作の現場では重宝されています。もしもあなたがプロのベーシストになりたいと考えているのであればコントラバスのスキルを習得するのも重要になってくるはずです。

アコースティックベースで使われるピックアップについて

アコースティックベースは文字通り、本来は電気的な増幅を用いずに演奏することを前提としていますが、現代の音楽事情を踏まえて最近の製品はほぼ全てがアンプから音を出すことを前提としています。

特性上エレキベースとは異なるピックアップを用いることが多くありますので、その点について解説します。

マグネティックピックアップ

マグネティックピックアップとは、磁性体である弦に反応して信号を出力するためのピックアップです。マグネットの周りにワイヤーを巻いたコイルによって、電磁誘導を利用して信号を出力します。

特性上、磁性体ではない弦を使用した場合には音は出せません。しかし、エレキベースと非常に近い(もしくは同じ)信号を出力するために扱いが容易で、エレキベースとの持ち替えもスムースです。

エレキベースと同じ機材をほとんどそのまま流用できるのは大きなメリットです。

ピエゾピックアップ

磁性体である弦が振動することを元にして信号を出力するマグネティックピックアップに対して、ピエゾピックアップは弦やボディの振動そのものを出力します。

アコースティックギターやアコースティックベースは本来ピックアップを持たないので、特にアコースティックギターやその構造をほとんどそのままに採用したアコースティックベースにおいてはマグネティックピックアップよりもピエゾピックアップの方がポピュラーです。

サウンドは生々しく、スピーディです。カツカツとしたアタック音も大きく含まれるために、特にアコースティックベースではうるさく聞こえてしまうこともあります。

そのような点を改善して、ベース専用に開発されたピエゾピックアップも存在するので、ここの選び方は非常に重要です。

ピエゾピックアップはマグネティックピックアップに比べて出力レベルが小さいことが多く、ほとんどの場合はプリアンプと併用されます。プリアンプとは、出力レベルの小ささを補いながらサウンドの微細な点を修正する機能を持ちます。

具体的にはプリアンプにはイコライザーやノッチフィルター、コンプレッサーなどが搭載されることが多く、モデルによってはチューナーまで内蔵してしまいます。

エアマイク

エアマイクはボーカル用のマイクと同じように空気の振動を信号として出力するものです。弦振動そのものを出力するため、実際に人間の耳で聞くのと非常に近い特性を持つと言えるでしょう。

アコースティックベースにおいては低音が拾いづらいという特性上珍しいかもしれませんが、アコースティックギター用のマイクとしては非常にポピュラーです。

アコースティックベースの種類のよってはマグネティックピックアップ、ピエゾピックアップ、エアマイクを併用してミックスすることがあります。特にコントラバスにおいてはこのテクニックは非常に重要で、多くのベーシストはこの部分に大きなこだわりを持ちます。

まとめ

本記事ではアコースティックベースの概要は種類、ピックアップといった部分について解説しました。記事をご覧いただいてご理解いただけたと思いますが、一言にアコースティックベースといってもその実は非常に種類が豊富で奥が深いものです。

その分エレキベースとは異なる面白さが含まれるもので、ただ演奏する以外にも多くの楽しさ、喜びを提供してくれるものだと思います。せっかく興味を持ったのであれば、ぜひ楽器店の店頭で実際に手にとって、その魅力を体感していただきたいです。

嵯峨駿介 /
ビギナーズ編集部 ライター

23歳でベース専門店Geek IN Boxを立ち上げ。海外ブランドとの取引経験が豊富でアメリカ、ヨーロッパ、中国などの主要ギターショウに参加。ベースマガジンなどの専門誌や、ウェブメディアなどへの寄稿多数。※本記事の内容は嵯峨駿介個人の意見、知識を基に執筆しております。所属するベーシック株式会社及びGeek IN Boxの総意を代表するものではありません。

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