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トロンボーンの種類は音楽の歴史と共にあり!教会音楽からポップスまで
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トロンボーンは、吹奏楽やオーケストラだけでなく、ジャズやポップスでも使われる楽器です。
トロンボーンの歴史は古く、約500年前から、基本的な形が変わっていないとされています。
中低音の魅力ある楽器トロンボーンは、実際にどんな種類があるのでしょう。
目次
歴史で紐解くトロンボーンの種類
トロンボーンは金管楽器の中で、唯一スライドを滑らせて演奏する種類の楽器です。スライドを操作することで、管の長さが変わり、音の高低がうまれます。
トロンボーンの歴史は古く、15世紀頃にトランペットの仲間『スライドトランペット』の一種から派生してできたといわれています。
ドイツのハンス・ノイシェルが現在の形に完成させ、それから約500年以上もの間、基本的な構造が変わっていない、古い種類の楽器です。
トロンボーンができた当時、地方によっては『サックバット』とも呼ばれており、バロック音楽の中で頻繁に使われていました。
クラシックからジャズ、ビッグバンド、ポップスと時代や音楽の歴史が変わるのに伴い、トロンボーンの種類も中音から低音まで、幅広く作られるようになりました。
古楽器からピストン式まで!トロンボーンにはたくさんの種類があった
一般的によく見かけるのは『テナートロンボーン』と呼ばれる種類です。歴史の長いトロンボーンは、その時代の音楽に合わせて、少しずつ変化してきました。
サックバット
『サックバット』は、トロンボーンの祖先といわれる種類の古楽器です。現代のトロンボーンよりも、全体的に小さく軽いのが特徴です。
バロック時代から教会音楽に使われ、柔らかい音色が特徴のトロンボーンです。
アルトトロンボーン
明るく軽やかな音が特徴の『アルトトロンボーン』は、一般的なテナートロンボーンよりも小ぶりで、管の基音は『E♭』です。
オーケストラでは、合唱付きの曲に用いられます。また、トロンボーン・アンサンブルで使われることが多く、
テナートロンボーン
テナートロンボーンは、最も一般的な種類のトロンボーンで、基音は『B♭』です。テナートロンボーンは、シャープで明るい音色が特徴です。
吹奏楽の他、ビッグバンドやジャズ、ポップスを演奏する時は、テナートロンボーンを使います。
構造はとてもシンプルで、組み立ても簡単です。ベルのサイズは直径20cm前後で、ボアサイズ(円筒管部分の内径)は13cmほどです。
最も普及しているタイプのトロンボーンなので、初心者でも扱いやすい種類のトロンボーンといえます。
テナーバストロンボーン
テナートロンボーンに『バルブF管』を追加したのが、『テナーバストロンボーン』です。
テナーバストロンボーンは、テナーでは出せなかった一部の低音が出るので、厚みのある豊かな音色が特徴です。
演奏できるジャンルも幅広く、特にオーケストラでは、テナーバストロンボーンが主に使われます。
ベルのサイズは直径22cm前後のものが多く、ボアサイズは14cm前後のものが主流です。
バストロンボーン
バストロンボーンは、テナーバストロンボーンの管を太くし、バルブを2本(F管・G♭管)追加した種類のトロンボーンです。
バルブを押すことで、『D管』になるものが一般的です。マウスピースは、テナーバストロンボーンよりも大きいサイズのものを使用します。
低音域が出せるので、オーケストラ、吹奏楽、ビッグバンドなど幅広いジャンルで活躍する種類のトロンボーンです。
バルブトロンボーン
トロンボーンは、スライドを動かして音程を変えますが、『バルブトロンボーン』はスライドではなく、ピストンやロータリー式のバルブ操作することで、音域を変える種類のトロンボーンです。
スライドよりもスピード感のある操作性が特徴で、ジャズやポップスで人気のあるトロンボーンの種類です。
トロンボーンの音色を種類別に聴きくらべてみよう
オーケストラや吹奏楽では、伴奏になることの多いトロンボーンですが、ソロではどのような音色になるのでしょう。トロンボーンの種類別に聴いてみましょう。
アルトトロンボーンは明るく軽やかな音色
他のトロンボーンに比べて、高く澄んだ音のするのが『アルトトロンボーン』です。横から見ると、そのコンパクトさがよくわかります。
『少年時代』を作曲した井上陽水さんも、高めの声の持ち主ですが、アルトトロンボーンでは、曲の雰囲気がうまく表現されていますね。
テナートロンボーンはジャズの鋭さも表現できる
トロンボーンレジェンドといわれる、ワイクリフ・ゴードンのテナートロンボーンソロです。
『テナートロンボーン』はジャズでよく使われますが、全体的に明るく鋭い音に感じられます。
スピード感のある奏法から、ムードのある曲まで、テナートロンボーンは音楽の可能性を広げてくれる種類の楽器といえるでしょう。
テナーバストロンボーンの豊かな音色をじっくりと
オーケストラで使われる『テナーバストロンボーン』は、温かみのある豊かな音が特徴です。
音域が下(低音部)に広いため、より厚みのある表現が可能な種類といえます。
オーケストラでは、トロンボーンは伴奏が多くなりがちですが、ソロで聴くと歌声のような響きに感じられます。
バストロンボーンの音を聴いてみよう!
トロンボーンアンサンブルや、ビッグバンドに欠かせない『バストロンボーン』の音を単体で聴いてみましょう。
やはり、太くて低い、重みのある音ですね。ビッグバンドでは、トランペットの華やかさが目立ちますが、低音の『バストロンボーン』がしっかり支えてくれる印象があります。
実はたくさんある、トロンボーンに欠かせない『ミュート』の種類
『ミュート』は日本語では『弱音器』と呼ばれています。音を小さくするほか、音に表情つける効果もあります。
ベルの部分にミュートを挿し込んだり、当てたりすることで音量が調節できます。幅広いジャンルを演奏するトロンボーンには、使うミュートにもたくさんの種類があります。
トロンボーンがミュートを使うとこんな音になる
まずは、ミュートを使ったトロンボーンの音色を聴いてみましょう。ここで使われているミュートの種類は『ブランジャーミュート』です。
サイレントブラス・トロンボーン用
トロンボーンは金管楽器の中でも音量が大きい種類の楽器です。練習場所を選ぶのも一苦労しますが、サイレントブラスを使用することで、自宅での練習も可能になります。
ヤマハ独自のデジタル技術によって、ミュート特有のこもった音ではなく、よりリアルなトロンボーンの音色と吹奏感が得られます。
ストレートミュート
ストレートミュートは、トロンボーンに装着したまま演奏する種類のミュートです。弱音ではなく、音質を変えることを目的にしています。
主に吹奏楽の曲で使われることが多く、コンパクトなストレートミュートであれば、装着したままケースにしまえるタイプもあります。
プランジャー ミュート
ジャズでよく使われる種類のトロンボーン用ミュートです。ラバーや樹脂製のものが主流です。
トロンボーンのベルに片手で当てたり外したりして使用するため、楽器を肩で支えるようになります。
バケットミュート
トロンボーンのベルに被せるようにして使うのが『バケットミュート』です。繊維で作られているため、全体的に『モコモコ』という音になります。
弱音効果とともに、柔らかい音を演出するために、用いられるミュートの種類です。
まとめ
トロンボーンは演奏する音楽のジャンルによって、使う種類が変わってくる金管楽器です。
古くから形の変わらない楽器ということもあり、クラシックからポップスまで多彩な演奏が楽しめます。
どの種類のトロンボーンが、演奏したい音楽に合っているか、じっくり検討してみてください。
藤加祐子 /
ビギナーズ編集部 ライター
仙台市出身在住。フリーライター・写真家・タティングレース作家。古書店巡りとフルート演奏が趣味。仙台フィルの演奏を聴くのが自分へのご褒美です。