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子供のためのピアノ練習時間のすすめ|講師目線で徹底解説
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今も子供がやりたくないことを無理にやらせることは、よくないことだと思いますが、今回はピアノ講師目線で、理想の練習時間についてご紹介していきます。
目次
幼稚園児の練習時間と練習方法
幼稚園児と言ってもこのころの子供たちは年齢というより、月齢で違うくらい、同じ学年でも差が出てきます。なので、当然30分座っていられる子、それも難しい子など様々です。
しかし、“それは座れないからダメ”ということではなく、極端にいえば3歳~6歳くらいの子供たちは週1回のレッスンでも十分にピアノと向き合えていると思います。
私は幼稚園児に教えることが多いですが、確かに練習してくる子たちは上達が早い傾向にはあります。
だからといって練習しない子は全くできないわけではなく、実際はレッスンのみでもかなりの能力を発揮できるのがこのくらいの年齢の子達です。
つまり、練習を継続することが大事ということです。子供たちは覚えることはとても早いですが、その分忘れるのも早いです。
レッスンは週1回ですが、これも毎週行うことで継続になります。極端にいうと、1週間のうち1日だけ1時間や2時間通して練習をできたからといって、その後は練習しないでいたり、継続していなかったら、忘れてしまいます。
大人の練習となると話は変わってきますが、まずは習慣付けるということが幼児期に大事な目標となってきます。
目標は“毎日触ること”最低10分~30分の練習が目標
幼稚園の頃の練習時間は10分か30分程度で、ピアノの練習というより遊び感覚といった感じだと思います。
そこでちゃんと練習しなさい!と言ってしまいがちですが、それはとてもいいことで音を楽しんでいる証拠です。
まずは1日10分からピアノを弾くこと、ピアノの椅子に座ることができたらでもいいので、しっかり褒めてあげてください。
また、この頃は、キーボードを使っており、ピアノを練習するというよりも、キーボードに内蔵されていた模範演奏を聴いて遊んでいる時間の方が長く、純粋に音が出るおもちゃで楽しく遊んでいるような気持ちでピアノを弾いています。
その“音は楽しい!不思議!おもしろい!”といった気持ちを大事にしてあげてください。
幼児期でピアノを購入するタイミング
年少または、年中から始めた場合、年長くらいになったタイミングで、それまでキーボードでの練習だった子たちは、キーボードでの練習では難しくなり、電子ピアノやピアノを買わざるをえなくなり、購入するといったステップに移ります。
このときにピアノを買うことができればベストですが、実際は電子ピアノを買う方が多いです。最近では電子ピアノでも十分なものが多い上に、音量も調節ができるため、練習時間の確保が明らかに違ってきます。
子供にとっても電子ピアノやピアノが自宅に来てからはモチベーションが上がり、自分から“もっとピアノを弾けるようになりたい!”という気持ちになっていくので、そのときはそっと見守り、褒めてあげてください。
ただし、電子ピアノは電子機器ですので、半永久的なピアノと比べると寿命は短めです。テクニック的な影響もありますので、購入の際は習っているピアノ教室の先生に相談してみることをおすすめします。
小学校低学年(1年生~3年生) の練習時間と練習方法
学校から帰ってくると、宿題や友達と遊んだりと、それなりに忙しく、あっという間に夜ご飯の時間になってしまうという流れが多いと思います。
それからのピアノ練習となると、夜になってしまい、疲れて集中力が乱れしまいます。そんな中の練習となると、基本的には20分から30分という時期が小学校2年生くらいまで続くことがほとんどです。
逆にいうと、学校では自分の苦手な教科でも授業を受けなければならなくなるため、我慢して椅子に座って45分間は集中するという訓練をしていることになります。
その我慢が出来るようになってくる年齢になるということは、毎日ピアノに触れることが目標だった幼児期の練習目標から、できないことを克服する練習目標へと変わってきます。
“克服する練習”で最低30分~45分の練習が目標
先ほどお話ししたように練習目標は内容のあるものへと変わってきます。
幼児期で毎日10分でもいいからピアノに触れることが目標だった練習から、上達のための練習へと、練習内容が成長していきます。
まず弾いてみて、できなかったところを何度も練習するという繰り返しの練習をするようになります。さらに練習する曲数もレベルが上がるにつれて増えていきます。
はじめは何度も同じところを繰り返し練習することが退屈に感じてしまいますが、諦めず練習し続けることで弾けるようになります。
「弾けなかったところが弾けるようになった」という達成感を味わうことで、次にまた弾けないところができても、練習すれば出来るという気持ちになってきます。
その繰り返しでどんどんピアノの魅力に気づいていくようになります。私も実際にその繰り返しで、ピアノにはまり、いろんな難しい曲に挑戦したいと思うようになり、自然と練習時間が伸びていきました。
学校行事では積極的にピアノ伴奏をする
学校の行事では合唱曲の伴奏を弾くようにしましょう。
人前で弾くことを積極的に挑戦することで、ミスタッチへの意識や、綺麗に弾きたいという気持ちが自然と練習への意欲につながっていきます。
こちらも実体験ですが、私は小学2年生からピアノを習い始めましたが、習うきっかけとなったのは、1年生のときの行事の伴奏をすることになったことでした。
伴奏が弾きたいという理由で習い始め、簡単に弾けなかったことが悔しくてたくさん練習しました。
お友達が聴いているという意識から、かっこよく弾きたいと思い、かっこよく弾くためには練習するしかない!!ということで夢中になって練習し、成功することで得た達成感は今でも忘れられません。
その後も毎年行事の度に伴奏を弾かせてもらい、伴奏希望者が何人かいた場合はオーディションとなるため、そのたびにピアノに対する意識が変わっていき、上達していったと感じています。
このように人前で魅せる演奏をたくさんしていくことは上達への近道となりますので、伴奏練習をすることもおすすめです。
小学校高学年(4年生~6年生) の練習時間と練習方法
小学校4年生や5年生になると、学校の授業も長くなり帰ってくると既に15時や16です。宿題もありけど、ゲームなどの娯楽もやりたい・・・結局は、1時間未満くらいの練習時間が限界です。
そんなさまざまな誘惑がある中の練習は難しいですが、ここでたくさん練習して乗り越えるか、諦めてしまうかでとても差が出てきます。
継続し、内容のある練習をしてきた3年生までの練習から次は誘惑に勝ち、挑戦していくことが大事な時期です。
ピアノをやめるタイミング
残念なことに、中学校に上がるタイミングでピアノをやめてしまう生徒さんが多いのが事実です。
ピアノは勉強に邪魔なものどころか、成績アップに役立つと私は思います。
勉強が忙しくなるという理由で、ピアノを続けるかどうか迷っていらっしゃる方は、もう一度よく考えてみてください。
勉強だけをする、勉強しかできない、そんな生活将来のためだからといってできますか?
自分でも辛いことを強制するのではなく、勉強は塾に行っている子がほとんどですが、息抜きのための教室はないです。でも息抜きが欲しいというのは人間だれしも思います。
その息抜きをピアノになるようにしてあげると自然と練習するようになります。
ピアノは勉強では得られない、点数ではない自己満足の達成感というのを感じることができます。
確かに周りは6年生あたりからピアノをやめる子が増えてきますが、ピアノを自由に弾いてきた私にとって、成績が落ちるどころか良い気分転換になっていて、大抵、定期テスト前はピアノの練習をしっかりやり、勉強・ピアノのルーティン化ができていました。
他の習いごとでもいえることですが、両立している子の方が、楽しくのびのび学校生活を送っており、キラキラしているように思えました。
そして成績もバッチリ上がっています。結局、今勉強できていない人は、何かをやめてもその時間に勉強はしないのです。
勉強が忙しくなるからやめるのではなく、本人にとって負担ではなく、音楽が好きというのであれば、できれば続けさせてあげてください。
息抜きの場所、勉強や人間関係がうまくいかなかったときの逃げ場所など、作ってあげてください。
心配な場合は先生に練習時間は短くなる旨をお伝えして、上手に付き合っていきましょう。
継続していることがあることは必ず自分にとってプラスになります。幼い頃から続けてきたことはなるべく諦めないようにしましょう。
幼稚園生活・学生生活を送りながらの練習方法についてのアドバイス
音楽だけをやればいいという生活でいいのなら、4時間というのは可能かもしれませんが、現実問題、一般科目もやらなければいけない小学校・中学校では毎日4時間のピアノ練習は難しいものかと思います。
音楽家への道を選んだ際は少なくとも4時間以上の練習は確かに必要かもしれません。しかし、さまざまな習い事をさせる傾向にある今の環境では特に、内容を意識した練習を心がけましょう。
時間がないときこそ、計画をしっかり立てて練習をし、無駄のない時間の使い方をしていきます。
ピアニストとしての資質がないのに、4時間練習して、それでいて音楽家にすすめないというリスクがあるのに、やるのはかなり危険です。
徐々に見極めることが大事な時期に気を付けて練習時間を確保することをおすすめします。
早い子では小学生のうちに音楽系に進みたいと考え始めます。中学生になり、現実が見えてきて諦める子もいますが、そこで本気でピアノを続けたいと思ったら練習時間をまず増やすべきです。
音楽大学などに通うことになったら1日10時間練習しているのが当たり前という世界に行かなくてはならなかったりします。環境は様々ですが、練習がすべての技術種目は練習するしかないのです。
また、好きな曲を好きなだけ弾けるということではないこと、職業が限られていることなど、これからさまざまな壁があることを見据えて音楽の道へ進むことになります。
厳しいことをお話ししましたが、ピアノを継続的に付き合うためにも、長い練習をすることが100%正しいというわけではないことを覚えておきましょう。
大事なこととして練習は“内容”です。当たり前のことをいいましたが、ピアノの椅子に座るとだらだら弾いてしまいがちです。
なので、だらだら弾くのではなく、部分練習をしっかりしましょう。
やる気になるような工夫を!
練習をした日にはカレンダーにシールを貼る、楽譜に日付を記入するなど、頑張った結果が見えるようにするのも1つの方法です。
また、時間を決めて練習をするのも良いでしょう。幼稚園に行く前に15分、夕食後に15分と決めて練習を続けるなど、本人がその時間は「ピアノの練習」と自覚するようになればしめたものです。
親が促さなくとも自然とピアノに向かうようになります。
練習時間にはこだわらないで!
レベルが上がってくると曲の難易度も上がってきますから、自然と練習量も増えていきます。
時々、習い始めたばかりなのに「最低でも30分は練習をさせなくては!」と張り切るママもいます。しかし、先ほどお話ししたように、練習時間にこだわるよりも“短時間で集中した練習”をした方がいいです。ダラダラや渋々弾くよりも、ずっと上手になるからです。
楽しい練習こそが上達への近道
小さなお子さんが「気分よく」「楽しく」練習ができるようにするには、疲れている夕方には練習しない、ご褒美シールを用意するなどの工夫が大事です。とにかくマイナスなことは言わないことです。
また、ピアノが弾けるママであれば一緒に連弾をしてあげると良いでしょう。1人で弾くよりも音量、音域が増えて上手になった気分になるものです。
ピアノやヴァイオリンなどの楽器は「毎日コツコツ」と練習を積み上げた方がグンと上達します。
それだけに、厳しい指導をする先生も少なくありません。1日練習を休めば3日後退すると思いなさいとよく母に言われていました。
しかし全てのご家庭が同じようにできるわけではなく、私も講師として思うことは、付き添っていただけるだけでもありがたいということです。
ただ、小さいお子さんの練習は、ママやパパといった大人が付き添わざるを得ません。
まずはそれぞれのご家庭にあったやり方で「無理なく毎日続ける」ことを目標にしてみて下さい。
楽しい練習こそが、上達へ一番の近道になるでしょう。
小さな子供も理解できる「時間」の使い方
小さな子供でも時間という概念はしっかりと感じています。
よく勘違いされている方は、練習時間が長ければ長い程良いという考えをお持ちですが、ダラダラと長く続ける練習よりもメリハリを利かせた練習の方が効果は高いです。この章では「時間」の使い方について紹介をさせて頂きます。
タイマーで時間を区切ると効率的
最初は5分間を設定して、「タイマーが鳴れば終わりね!」と子供に伝えましょう。
5分は演奏をしていると非常に短く感じるため、子供にもう終わり?という感覚を与えることができます。
また、この短い時間でも集中して練習を行うことで技術の上達を感じることができるため、短い時間でも上手にできるようになったと子供の自信にも繋がります。
5分に慣れてきたら、10分・15分・20分と徐々に時間を増やしていきましょう。
ただ、子供の集中力を考えると30分くらいを最長と捉えて、30分経過したら休憩、演奏と違ったことを行うことでリフレッシュさせた方が良いでしょう。
練習時間の終わりを明確に告げること
練習を嫌だと思っている子供にとって、この練習はいつ終わるの?ということは、子供心にとても意識されています。
よくあるパターンとして「○○ができたら終わりだよ」といった形で、子供に話をしている親御さんを見かけますが、コレはNGです。
○○ができるまで延々と練習をやらされるという思いを植え付けてしまうため、子供は益々練習するのを嫌がるでしょう。
今日は○分まで練習すれば終わりにしましょう。という形で初めから練習が終わる時間を子供に伝えることで、子供にも明確なゴール(終わり)があることをしっかりと理解させましょう。
子供のやる気UPに間違いなく貢献するのは「ご褒美」
物で釣るのは良くないと思われる方も多いかと思いますが、子供たちのモチベーションには確実にプラスとなります。
子供時代を思い出して頂くとイメージしやすいと思いますが、ちょっとした文房具等の普通の商品であっても、ご褒美として提示されるとやる気が出てきた記憶はありませんか?
実はご褒美には重要な点が1つあります。それは単発的に毎回与えるのではなく、継続して努力をした先に与えるということです。
継続した先にあるご褒美は、そこまで辿りついた達成感を子供に感じさせて、努力をすることの意味を子供ながらに理解することの手助けにもなります。
それでは、いくつかの事例をご紹介させて頂きます。
100曲合格までの道
曲を弾けるようになるたびに、ゴール(100曲)までのマスを一つずつ消していきます。
ゴールしたらご褒美という設定をすると、子供もかなり時間がかかると思ってしまうので、やる気が続きません。30曲ごとくらいに小さなご褒美を設定してあげると取組みやすいでしょう。
また、最後の10曲くらいはその子供の技術よりも難度が高くなるような曲を設定しましょう。通常では取り組みに尻込みをする形の曲でも、残り10曲でゴールという状況であれば子供のやる気は違います。
「今まで数多くの曲を成功してきたから大丈夫だよ」と励まして頂き、子供がこれまでに数多くの曲を演奏できるようになった実績を思い出させてあげましょう。
練習カレンダーによるポイント集め
毎月、練習カレンダーという形で日付が書いてあるカレンダーを子供に渡します。
30分練習をしたら○、1時間練習をしたら◎といった形で子供に印を付けさせます。
例えば○=1ポイント、◎=2ポイントとして、月末に30ポイント貯まっていれば商品交換券を1枚、50ポイント以上なら2枚渡します。
その年の年末に、商品交換券と商品を交換できるようにしましょう。
1年間の継続した頑張りと、毎月自分がどれだけ練習をしたかを子供が実際に目で確認できるという点がこの運用方法の肝です。
気持ちを立て直し肯定的な前進を手伝おう
もうできないと折れてしまった子供の心を持ち直させて、前向きに進めるように手伝うということは、頭で分かっていても実際にはとても難しいことです。
大前提として子供は話を聞いて欲しい・気持ちを理解して欲しいのです。そんな手助けができるような聴き方のコツをご紹介させて頂きます。
子供の考えが変わる!?父親が行うコーチングの重要性
母性と父性という2つの違いをご存じでしょうか?母性は子供を苦境からすぐに救ってあげたいという想いや行動ですが、父性は子供の苦境を優しく見守って問題を自分で解決することを待つという違いです。
仕事を達成するプロセスを子供にあてはめ、子供のやり抜く力を育てるには父性が非常に有効です。実例をご紹介させて頂きます。
まとめ
いかがでしたか?今日は〇〇時間練習したからすごい!という会話もいいですが、内容の濃い30分練習を毎日できる方がいいということを忘れないでください。
様々な練習方法はありますが、小さい子供たちにはご褒美制にするなど、ぜひ参考にしてみて下さい。
また、こちらの記事では東京で子供におすすめのピアノ教室とピアノ教室の選び方を紹介しています。ぜひこちらもチェックしてみてください。
伊藤しおり /
ビギナーズ編集部 ライター
趣味はピアノを演奏することと、野球観戦。 現在は自宅でピアノ講師をしながら、演奏活動をして音楽を楽しんでいます。野球も小さい頃から好きなので、音楽もスポーツもどちらの楽しさもお伝えできたらいいなぁと思います!