更新
ベースの運指練習方法|プロが教える美しい運指を実現するための練習法とは
※当記事はアフィリエイト広告を含みます。
ベースを演奏する上で、運指を考えることは非常に重要なことです。美しい運指があれば余計な音は出ずに、スムーズな演奏が可能です。
また、美しい運指は演奏に余裕をもたらします。そこに余裕があるからこそ、よりクリエイティブなベースプレイが可能になり、サウンド面にも気が使えるようになるはずです。
本記事では美しい運指を実現するための練習方法やフォームを紹介します。
運指とは
運指とは、簡単に説明すると左手の指運びのことです。どのように押さえるかはプレイヤーによって異なる部分もありますが、それはある程度のセオリーを抑えてこそ。
運指によっては演奏不可能なフレーズもあるので、フレーズによって、また自分がどう弾きたいのかによって運指は変えるべきです。
正しい左手のフォーム
運指の前に、まずは左手を正しいフォームにすることが大事です。運指は指や腕自体に余裕がなければ美しくはなりません。
ありがちな誤ったフォームが、腕が伸びきってしまっていたり、手首が体がわに近すぎたりするものです。このようなフォームだと指に余裕がなくなり、フレットをただ押さえるだけでも苦労してしまいます。
肘は軽く曲げて手首はネックのすぐ下でわずかに体側、親指はネックの裏にありますが場所は人差し指と中指の間に置くのが基本的なフォームです。
4フレット4指か、3フレット4指
フレットを指で押さえていくときに、大きく2つの方法があります。それは、1フレットには人差し指、2フレットには中指、3フレットには薬指、4フレットには小指を使う「4フレット4指」。もう1つは1フレットには人差し指、2フレットには中指、3フレットには薬指と小指を使う「3フレット4指」です。
後者は力が弱い小指の力を薬指で補うのが目的です。この方法は元々は張力が強く押さえるのに力がいるコントラバスを演奏するベーシストが使用するものです。そのため、コントラバスを最初に弾き始めた人にはこの押さえ方をする方が多くいます。
エレキベースの始まりはコントラバスの代用なので、この3フレット4指の方法は間違っていません。しかし、想像できる通り4フレット4指に比べて自由度は低くなってしまいます。
コントラバスに比べて弦が押さえやすいエレキベースを扱うのであれば、基本的には4フレット4指で練習をするのがおすすめです。フォームが整わないうちはかなりきつく感じるかもしれません。そのため、最初は3フレット4指で演奏することも悪くはないと思います。
あまり無理をしすぎないのもポイントで、たとえ最初は3フレット4指で演奏していたとしてもいずれは4フレット4指で演奏することが可能になると思います。大事なのはそうした方法があることも知っておくことです。
弦の押さえ方
基本的には押さえたいフレットよりもわずかに左側を押さえるのが正しい押さえ方です。このときに気をつけたいのが、フレットのすぐ脇を押さえること、そしてフレットの上は押さえないことです。
弦をフレットに押し付けることでそのフレットが設定した音程をならせるわけですが、無駄な力が入ると弦を引っ張ってしまい、音程が上がってしまいます。
また、フレットの真上を押さえてしまうと弦が自由に振動せず、「ブブ」とミュートしたような音になってしまいます。
最小限の力でフレットを押さえることで、結果的には美しい音を出すことにつながります。
ミュートについて
ベーシストにとって重要なテクニックの1つにミュートがあります。ミュートとは、余計な音を出さないこと、そして止めたいタイミングで音を止めることです。
余計な音を出さないためには、弾きたい弦以外の弦は常に左手や右手で触れていることが必要です。
例えば3弦の5フレットを中指で押さえたときには人差し指で4弦に軽く触れて鳴ってしまうのを防ぎます。他の弦ももちろん軽く触れます。
また、音を止めようと思ったときには右手で触れて振動を止める他に、フレットを押さえている左手の指をわずかに緩めて弦をフレットから離すこともあります。
繰り返しになってしまいますが、ミュートは非常に重要なテクニックです。フォームの面からも、ミュートについて考えながらどのような形が効率的か、美しいかを考えると非常にいいと思います。
美しい運指のための練習方法
運指を美しくするためにはとにかく反復練習をするしかないのが正直なところです。美しい運指とは、効率性です。いかに効率よくミュートするか、いかに効率よくフレーズを追うか。その点が美しければ自然と美しいフォームになります。
繰り返し練習をすることで体が効率のいい指の動かし方を覚えます。こればかりは量がものを言うと言ってもいいでしょう。
いくつかのパターンを身につけてみましょう。
パターン1
美しい運指の1つとして、4フレット4指の運指をぜひ身につけてもらいたいです。方法としては、4弦の1フレットから4フレットまでを人差し指から順番に押さえて弾いていきます。
BPMは80程度の4分音符で1フレットずつ演奏することから始めるといいと思います。ここで大事なのは、弦がビビらないことです。押さえ方が緩いと弦はフレットから離れてビビってしまいます。
ビビってしまうことを恐れるあまり、強く押さえすぎるとフォームが崩れていきます。
また、ありがちなフォームの崩れ方として小指で4フレットを押さえた時点で人差し指が1フレットから離れてしまうことがあります。これは美しくなく、また効率的でもありません。
1フレットを人差し指で押さえて音を出し、人差し指がそのままに2フレットを中指で押さえて音を出します。人差し指と中指はそのままに薬指で3フレットを押さえて音を出し、同じくそれらの指はそのままに4フレットを小指で押さえて音を出します。
ベースを始めて間もない方はこの方法がとてつもなく無理なものに思えるかもしれませんが、正しいフォームであれば可能な押さえ方です。
4弦が終わったら3弦、2弦、1弦と登っていき、1弦が終わったらまた4弦まで戻ってきます。これを1フレット始まり、2フレット始まり、3フレット始まり、とメトロノームに合わせて地道に繰り返しましょう。
非常に基本的なもので、特に方法と呼ぶものでもない気がしますが、クロマチックトレーニングと名付けられることもあるほどにポピュラーな方法です。
この押さえ方でビビらず、どのポジションでもスムーズに弾けるようになれば、多くのフレーズを無理なく演奏できる左手が出来上がっていると言えます。
テレビを見ながら、会話をしながらでもできるトレーニングなので地道に数をこなしましょう。必ずあなたの力になります。
パターン2
クロマチックトレーニングは指の力や効率的な弦の押さえ方が鍛えられますが、実際のフレーズはほとんどがクロマチックなスケールではありません。そのため、スケールに沿って運指をトレーニングすることも有効な練習方法です。
そのパターンの1つとして、メジャースケールを演奏しましょう。いわゆる「ドレミファソラシド」です。まずはCメジャースケールからトレーニングします。
Cメジャースケールは3弦の3フレット、3弦の5フレット、2弦の2フレット、2弦の3フレット、2弦の5フレット、1弦の2フレット、1弦の4フレット、1弦の5フレット、の並びです。
この並びをBPM80の4分音符で演奏しましょう。大事なのは指の形で、フレットが移ってもその前の指の位置はできるだけ維持しましょう。そしてビビりがないようにしっかりと音を出します。
このメジャースケールの指の形は一定なので、CだけではなくD、E、F、G、A、B、とポジションを変えながら多くのコードで練習してみてください。
同じコードでもオクターブやポジションを変えて練習してください。(Cメジャースケールであれば3弦の3フレット、4弦の8フレット、3弦の15フレットなど)
パターン3
メジャースケールがうまく弾けるようになったら、ドレミファソラシドと登っていくだけではなく、ドシラソファミレドと降っていく練習もしてみてください。
やってみるとわかりますが、登っていくよりも降っていく方が音を出すのが難しいです。これは右手のピッキングのタイミングとぴったりと合わなければ正しく発音されないことが理由です。
難易度は違いますが、音楽にとって登るか降るかは関係ありません。どのようなフレーズも演奏ができるように、どちらもトレーニングすることは必ず必要なことです。
美しい運指のコツ
美しい運指のコツは、指がバタつかないことです。そのために意識して欲しいのは、弦から指が大きく離れないことです。特に小指はコントロールが効きづらいので意識して弦に近づけましょう。
これを意識すると、自然とミュートもうまくなると思います。小指も含めて、自在にコントロールが効く状態にする事で演奏はより自由になり、美しいフレーズが演奏できるようになります。
まとめ
本記事ではベースで美しい運指を実現するための練習方法を開設しました。多くのことを書きましたが、特に運指については練習量がものを言うものだと思います。
どう動かしたら効率的に、楽に弦が押さえられるのか、楽にフレーズが弾けるのか、という点は反復練習によってのみ得られるスキルです。あまり楽しいものではないかもしれませんがこの練習がみなさんを裏切ることはありません。
また、ベース初心者向けにピッキング・スラップの基礎練習を解説している記事を紹介しておきます。ぜひ参考にしてみてください。
嵯峨駿介 /
ビギナーズ編集部 ライター
23歳でベース専門店Geek IN Boxを立ち上げ。海外ブランドとの取引経験が豊富でアメリカ、ヨーロッパ、中国などの主要ギターショウに参加。ベースマガジンなどの専門誌や、ウェブメディアなどへの寄稿多数。※本記事の内容は嵯峨駿介個人の意見、知識を基に執筆しております。所属するベーシック株式会社及びGeek IN Boxの総意を代表するものではありません。