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シンセサイザーとは?歴史からおすすめ商品まで解説
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シンセサイザーにはさまざまな種類があります。
その中でも主流のデジタルシンセサイザーは単に演奏用の鍵盤楽器としてではなく、ギターやドラムなどの音色が鳴らせたり、作曲や編曲の機能が備わっているなど、非常に多機能でいながら、鍵盤楽器にしては比較的低価格で購入できる楽器でもあります。
そこで今回はそのシンセサイザーについての基礎知識や歴史、種類と特徴、そしてシンセサイザーとキーボードの違いについて、初心者向けに詳しく解説していきます。
目次
シンセサイザーとは
シンセサイザーとは英語の「synthesize」に由来する言葉で、“合成するもの“という意味からきています。そのため、音色を合成して出力する楽器を意味します。
鍵盤がついていないシンセサイザーも存在し、その場合は“音源“と呼ばれたりもします。
さまざまな音を合成することで、ピアノやオルガンなど鍵盤楽器の音はもちろん、和楽器や弦楽器から雨音などの環境音まで出力が可能です。
モデルによっては数千もの音色を内蔵しているモデルもあります。
特に、ドラム音やベース音を同時に再生できる「シーケンサー機能」を搭載したモデルは、自宅で音楽制作をおこなえるため便利です。
また、バンドを組んでライブをやる場合、音色の多いシンセサイザーならさまざまなジャンルや曲に対応できます。
シンセサイザーとキーボードの違い
ポータブルキーボードはお手頃で親しみ易い楽器ですが、演奏者自身で楽しむことが得意な楽器といえ、演奏会や伴奏で使うにはやや不足する部分もございます。
一人で楽しめるポータブルキーボードに対し、シンセサイザーは観衆の前で演奏することが得意な鍵盤楽器といえます。具体的にどんな点で違いあるのか簡単に解説していきます。
シンセサイザーは観衆の前で演奏することが前提となっている楽器
ポータブルキーボードにはスピーカーが付いているから、演奏会に使える!とお考えの方も多くいらっしゃいますが、実はちょっとした注意点があります。
実は、ポータブルキーボード内蔵のスピーカーは弾き手にとって良いバランスで聞こえるように設計されているものがほとんどで、観衆の前で演奏する場合には音がきちんと響き渡らない可能性があります。
それは、演奏者と聴き手側が向かいあう場合、内蔵スピーカーが聴き手の反対方向へ向いてしまうからです。
一方シンセサイザーは、観衆の前で演奏することを前提にしていますので、スピーカーが内蔵されておりません。
音を出すときはアンプやスピーカーに接続します。これにより、場面に応じて柔軟なセッティングができ、観衆にとって聞こえやすい環境を実現出来ます。
シンセは持ち運びを考慮している機種がほとんど
Rolandの軽量ライブシンセサイザーJuno-Diは、可搬時にボディが撓まないようにシャーシの強度をもたせて上でのベストな軽量化に仕上げている。という話を聞きました。
このように、ライブハウスやスタジオ練習などに頻繁へ持ち込む事が多いシンセサイザーは、持ち運ぶ事を念頭において設計されています。
ポータブルキーボードも機種によって様々で決して壊れやすいという訳ではありませんが、演奏会やボランティアなどで持ち運びを頻繁にされるようでしたら、シンセサイザーも合わせてご検討することをおすすめします。
基本的には、音色を調節できる鍵盤楽器がシンセサイザー、できないのがキーボードといった理解で問題ありません。
なかには、鍵盤のないシンセサイザーもあります。キーボードにはスピーカーが内蔵されており単体で演奏を楽しめますが、シンセサイザーはアンプやヘッドホンとの接続が必要です。
キーボードは自宅で演奏を楽しんだり、ピアノ練習に活用したりすることが主流。一方で、シンセサイザーはさまざまな音色で演奏できるため、ライブや音楽制作向けです。
シンセサイザーの歴史
実験的な電子楽器は1930年代にはすでに存在しており、それが後のシンセサイザーの原点になったと言われています。
実際にシンセサイザーを使った音楽が演奏されるようになったのは1950年代からで、この頃から初めてシンセサイザーという名称で呼ばれるようになります。
シンセサイザーの神様 冨田勲
日本での一般知名度はそこまで高くないかもしれませんが、冨田勲さんはシンセサイザーの神様と呼ばれ、世界的にも広く名前が知られている有名な作曲家です。
日本にはまだシンセサイザーが浸透していなかった頃、当時1000万円もしたと言われている大型のアナログシンセサイザーを初めて個人輸入したのが冨田勲さんだったそうです。
その後、当時としては革新的だったクラシックとシンセサイザーのコラボレーション作品を発表し、日本人としては坂本九の「上を向いて歩こう」以来の全米チャート入りを果たしました。
そして、日本人として初めてグラミー賞にノミネートされるほどになり、日本でもTV番組のテーマ曲やBGM制作など作曲家として非常に多くの作品を残しています。
残念ながら2016年に亡くなられていますが、晩年にはボーカルシンセサイザーであるボーカロイド「初音ミク」とのコラボ作品を発表するなど、生涯に渡ってシンセサイザーと深く関わってきた方でした。
日本だけでなく、世界のシンセサイザーの歴史に大きな影響を与えた人物と言っても過言ではないと思います。
シンセサイザーでできることとは?
最近のデジタルシンセサイザーはかなり多機能で、USBケーブルでコンピューターと繋いで通信することも可能になっています。しかし、実際にシンセサイザーってどういうことができるか、疑問に思っている方も多いでしょう。
ここからは一般的にシンセサイザーにできることを詳しく解説していきます。
一人オーケストラ
デジタルシンセサイザーの多くはシーケンサーと呼ばれる自動演奏機能が内蔵されています。これを使ってデータを作成することにより、自分で全ての楽器を演奏することなく一人オーケストラが可能になります。
曲にもよりますが、最近ではクラシックの楽曲で著作権の切れた楽譜データをインターネットでダウンロードすることができるようになりました。
その楽譜通りに楽器を設定し、音符データを打ち込んでいくことで大人数のオーケストラをシンセサイザーで再現できるのです。
ドラムの打ち込み、リズムマシーンとしても便利なシンセサイザー
シンセサイザーの多くは楽器音がプリセットされていますが、もちろんドラムの音色も存在します。
シンセサイザーのイメージからテクノっぽい音色のドラムしかないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、通常の生演奏で使われるようなリアルなドラムの音色もあります。
DTMという言葉が流行り始めた頃に比べるともはや雲泥の差があるほどのクオリティの高さなってきています。
リアルな音色に加えてコンプレッサーやリバーブなどのエフェクトを掛けることにより、本物と聞き間違えるようなドラムトラックを作ることも可能なのです。
カラオケや楽器練習のマイナスワンとしての役割
現在のデジタルシンセサイザーはMIDI規格に対応しているため、市販の楽曲MIDIデータを購入すれば本体で再生することが可能にます。
MIDIデータであれば、カラオケのようにキーの変更も自由にできますし、特定のトラックをミュートにすれば楽器練習のためのマイナスワン音源にすることもできます。
特に楽器練習の際にはマイナスワンだけでなく、苦手な部分のループ再生、テンポを音しての再生などもできますので非常に優秀な練習ツールになります。
シンセサイザーの種類
シンセサイザーと言ってもさまざまな種類が存在します。ここでは、それぞれのシンセサイザーの特徴などをお伝えしていきます。
デジタルシンセサイザー
一般的にシンセサイザーというとデジタルシンセサイザーのことをイメージすると思います。いわゆるキーボードと呼ばれる一般的な鍵盤楽器です。専門的な知識が無くても簡単に取り扱うことができますので、キーボード初心者にもおすすめです。
最初からアコースティックピアノやエレクトリックピアノ、ベースやドラム、ストリングス、シンセサウンドなどの音色が組み込まれており、音色名を選ぶだけで様々な楽器の音色を簡単に再現できるのが特長です。
キーボードを使って、生楽器の音色を出したい!という方にはデジタルシンセサイザーが向いています。
アナログシンセサイザー
EDM(ダンスミュージック)やテクノ、シンセポップなどには欠かせない特徴的な電子楽器。
電圧を制御するアナログ回路を組み合わせてサウンドを生成しますので、デジタルシンセとは異なり、音色をゼロから作り上げていく電子楽器です
デジタルシンセに搭載されている「シンセサウンド」は、このアナログシンセのサウンドをデジタル化したものです。デジタル技術が進歩している今でも、野太く強烈なサウンドは「アナログシンセにしか出せないサウンド」と言われています。
サウンドの他に、アナログならではの直感的な音作りが出来るのもメリットのひとつです。アナログシンセ独特のサウンドが欲しい!という方には、アナログシンセをおすすめいたします。
ソフトウェアシンセサイザー
ソフトウェアシンセサイザーとは簡単にいうと、コンピューター上でソフトとして立ち上げて使うシンセサイザーのことです。ハードウェアを必要としないことからより安価に、より気軽に導入することができます。
ただし演奏にはMIDIキーボードが必要なので、ご注意ください。
ハードウェアのシンセサイザーでは本体メモリーの関係から大容量の音色データは扱えません。
一方で、ソフトウェア・シンセサイザーの場合はパソコンのハードディスクを記憶領域に使用するため、より大容量の音色データを使用することが可能になりました。
音色データの大容量化に伴い、シンセサイザーとしてではなく、実際に生演奏されてた音色を使ったサンプラーのような使い方をされることが増えてました。
しかし、ソフトウェアシンセサイザーの登場により、シンセサイザーとしての可能性はより広がってきています。
シンセサイザーの選び方とおすすめ【入門・初心者】
シンセサイザーについての知識を学んだあとは、いよいよ楽器選びです。選び方からおすすめ商品までご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
まずは鍵盤数をチェック!
シンセサイザーの鍵盤数は、25から88までモデルによってさまざまです。ピアノの鍵盤数は88なので、鍵盤数が少ないタイプはクラシックやジャズなどのピアノ曲を演奏できないケースもあります。
ただ、鍵盤数が多いほどサイズが大きく、重たくなることを考慮しましょう。61鍵盤は、演奏しやすいうえに持ち運びができるのでおすすめです。バンド活動をしている方やライブで使用する際にも便利です。
ロックやポップス、ダンスミュージックなど88鍵盤を必要としない場合は、携帯性を重視して少ない鍵盤のモデルを選ぶのも方法のひとつです。
音色の種類や質をチェック
シンセサイザーはさまざまなモデルが販売されており、内蔵された音の種類や音色もそれぞれ異なります。
「ライブではピアノのオルガンの音しか使用しない」「和楽器の音を出したい」「DTMで使用する雨音など環境音が欲しい」などのニーズに応じて、どんな音に対応しているかを確認しておきましょう。
内蔵している音数が多いほど、さまざまなシーンやジャンルに対応できます。初心者に向けたモデルでも、数百以上もの音を内蔵しているモデルもあるのでチェックしてみてください。
キータッチをチェック
鍵盤を押さえたときのタッチ感は、電子オルガンに近い軽いタッチやピアノのような重たいタッチなど、モデルによって異なるため注意が必要です。
タッチ感が軽いタイプは演奏もしやすく、持ち運びに便利な軽量モデルが多いなど、初心者にも最適なお手ごろ感が魅力。
また、鍵盤上をすばやく滑らす「グリッサンド奏法」が使用しやすいのも特徴です。一方、重たいタッチ感のモデルはピアノ経験のある方におすすめで、強弱をつけやすいピアノの弾き心地にこだわりたい方に適しています。
おすすめシンセサイザー【入門・初心者】
シンセサイザーは様々なモデルが存在しているので、楽器屋さんに行っても何を選べば良いのか悩んでしまうと思います。そこでここからは、初めてのシンセサイザーにぴったりな入門モデルをご紹介していきます。
先ほどの選ぶポイントを踏まえて、自分に合ったシンセサイザーを選んでいきましょう。
KORG KROME 61
こちらはまさに「シンセらしいシンセ」、オールインワンシンセサイザーです。初めてなので何を買って良いのかわからない、でも比較的安くて色々こなせる多機能デジタルシンセが欲しいという場合はこのシンセを買っておくと間違いありません。
ROLAND JUNO-DS61
バンドの定番シンセサイザーとも言えるROLAND JUNOシリーズの最新モデルであるDS−661。
コンセプトは「高音質」「軽量」「簡単操作」で、自宅でどっしりと音楽制作するというよりは外に持ち出してスタジオ練習やライブに使うといった利用に向いています。
YAMAHA reface シリーズ
こちらはプロのレコーディング・ステージユースにも対応できるハイグレード音源搭載していながらも低価格、軽量コンパクト、スピーカー内蔵、電池駆動可という、斬新なキャラクターで人気のYAMAHA reface シリーズ。今どきの多機能なデジタルシンセとは真逆とも言える個性ですが、非常に魅力的なモデルだと思います。
また、こちらは本体にシーケンサー機能は搭載されていませんし、鍵盤の少なさもあり、これ一台で本格的な打ち込みや演奏をする目的には向かないですが、USB端子がついているため、パソコンと繋げて軽量コンパクトなMIDIキーボードとしても使えるのが便利ポイントです。
まとめ
いかがでしたか?シンセサイザーについてたくさんの話してきましたが、初めて楽器を始めるとなると、練習も不安ですが、まずは自分に合った楽器を選ぶところからが大事になってきます。
最後にシンセサイザーをいくつかご紹介してきましたが、もちろん他にも魅力的なモデルがたくさんありますので、選ぶポイントを抑えながら素敵な楽器選びをしていきましょう。
ビギナーズでは、今回紹介したもの以外の初心者におすすめのシンセサイザーを紹介しています。他にどんなシンセサイザーがあるか気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
伊藤しおり /
ビギナーズ編集部 ライター
趣味はピアノを演奏することと、野球観戦。 現在は自宅でピアノ講師をしながら、演奏活動をして音楽を楽しんでいます。野球も小さい頃から好きなので、音楽もスポーツもどちらの楽しさもお伝えできたらいいなぁと思います!